シュークリームの歴史とは?シュークリームはフランス生まれのスイーツ。シュークリームの誕生やシュークリームの完成、日本へはどうやって入ってきた?名前の由来とは?

シュークリームの誕生

シュークリームはフランス生まれのお菓子。日本には幕末に伝わったといわれています。今でこそコンビニでもスーパーでも簡単に手に入るようになったシュークリームですが、昔はなかなか買えない高級品でした。それもそのはず、シュークリームが日本にやってくるまでには長い年月と多くの先人たちの努力が積み重ねられていました。今回はそんなシュークリームのヒストリーをお話したいと思います。

先ほどシュークリームはフランス菓子だとお話しましたが、元はといえばイタリアがルーツと考えられています。1530年代初頭、フランスのアンリ王子はイタリアの大富豪のお嬢様、カトリーヌ・ド・メディシスと結婚しました。その際にカトリーヌはイタリアからおよそ1000人もの職人を連れて嫁いだそうですが、。その中の一人であったイタリアのシェフがシュー生地をフランスに伝えたという話が有力説とされています。当時のシュー生地はクリームなどは挟まれておらず、スープなどに添えられて食されていました。いわばパンのような存在だったわけです。

少し話は逸れますが、カトリーヌの名はお菓子業界では大変有名です。シュークリームだけでなく、マカロン、フロランタンなど現在もフランス菓子の代名詞になっているような数々のお菓子を伝えたとされています。今ではフランス料理といえばナイフにフォークの優雅なイメージが定着していますが、これもカトリーヌが伝達したもの。

嫁いだ当初はフランス宮廷ですら手づかみで食事をしていたそうです。世界史上では宗教戦争での印象強く、悪者扱いもされていますが、間違いなく現代に語り継がれる美食の数々を伝達した人物でもあります。

シュークリームの完成

さて、話はシュークリームに戻しましょう。パンのようなシュー生地が現在のようなシュークリームになったのは18世紀終盤頃。実にカトリーヌの時代から300年近く経ってからのことです。フランス人パティシエ、ジャン・アヴィス氏がふんわりと丸いシュー生地を完成させたといわれています。この形がフランス語でキャベツを意味するシューに似ていることから「パート・ア・シュー」(パートはフランス語で生地を指す)と呼ばれるようになりました。ちなにジャン氏がゼリー型にケーキ生地を入れて焼いたものがマドレーヌの発祥であったという説もあります。その後、ジャン氏の弟子であったアントナン・カレーム氏がパート・ア・シューにクリームを入れて「シュー・ア・ラ・クレーム」日本でいうシュークリームを完成させました。まさにジャン&アントナン師弟の努力の賜物ですね!

日本への伝達

日本へやってきたのは、それから更に50年ほど経った1850年頃といわれています。当時、横浜で「横浜八十五番館」という洋菓子店を開いていたサミュエル・ピエール氏によって紹介されました。その後、横浜八十五番館で働いていた日本人シェフたちが各地で独立し、シュークリームの販売を行うようになっていくにつれて全国に広がっていったといわれています。明治時代の終わりには洋菓子は一般的にも知られるようになり、冷蔵設備が発展した昭和に入ると、クリームを使った洋菓子も多く販売されるようになっていきます。とはいっても、一般家庭ではやはり高級品で特別な日に食べるものといった位置づけでした。今でこそいつでも美味しいシュークリームが食べられるようになった企業努力に頭が下がります。

シュークリームの呼び方

日本ではシュークリームと当たり前のように呼んでいますが、これは日本だけの呼び方である和製英語です。先述の通り、フランスではシュー・ア・ラ・クレームと呼ばれ、英語圏ではクリームパフが一般的です。シューといえば英語では靴をイメージするのが一般的なので、シュークリームと聞くと革靴用のお手入れクリームが思い浮かばれそうです。英語圏でもイギリスではプロフィトールと呼ばれることもあります。しかし、本場フランスではクリームパフとプロフィトールは別物と考えられています。その区分の決め手は大きさ。プロフィトールは小さめの大きさで、チョコレートなどがかかっているものという認識が一般的です。日本でいうプチシューといったところでしょうか。プロフィトールは元々「心付け」を意味する言葉でもあることが由来とされています。

最後に

シュークリーム一つにしても歴史を辿ってみると、様々な時代背景が映し出されて面白いですね。そして思うことは、どの国でもいつの時代でも人々はより美味しいものを求めて試行錯誤を重ねてきたのだなということ。人の喜びは時を越えてもあまり変わらないものですね。しかし、現代の私たちは、世界的に有名な王妃よりもおそらくずっと美味しいシュークリームを食べているはずでしょう。そう思うと一口一口が有難く感じませんか?先人たちの思いを噛みしめながら頂くシュークリームは一層美味しく感じるはずです。早速夏の昼下がり、アフタヌーンティーにいかがでしょうか。

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